大人の発達障害(ASD)の方の為の記事

大人の発達障害の方の為の記事

今回は大人の発達障害(ADHD/ASD/LD)の中の、
とくにASD(自閉症スペクトラム障害)に関する内容です。

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、

ASD(自閉症スペクトラム障害)とは、発達障害の一つの分類で、社会性やコミュニケーションに困難を抱える障害です。 以前は自閉症、アスペルガー症候群などと別々の障害とされていたものを、一つの連続した症状としてまとめた新たな分類方法です。

とウェブ上で表記され、現在の医学でも定義されています。

特に昨今では、一般社会に認知されるようになってきたASD、
社会性の問題点からASD自体が障害であると一般的に判断される様になってきました。

 

ASDの方の特徴

ASDの特徴は、

  • 話が上手く噛み合わない
  • 会話の内容をなかなか理解できない
  • 相手の感情がうまく汲み取れない
  • 言葉を鵜呑みにしてしまう
  • 集団行動が苦手
  • 思った事を直ぐ口に出してしまう
  • 会話の中のニュアンスが分からない
  • 他人から言われた言葉を数分後には忘れてしまう
  • 指示が無ければ動けない
  • 想像力が弱い
  • 細かい変化が気になってしまう
  • たくさんの事に疑問を抱いてしまう
  • 時間管理が上手くできない
  • 熱中すると周りの人に意識が向けない

などなど、多くの問題を抱えてしまう障害です。

 

それらの障害は、日常生活をしていく中でとても大きな問題だと言えます。

ASDの方が自分一人で生きて行く上では問題はないかもしれませんが、
この社会は『他人がいる事』で成り立ち、また他人に助けられて生きていけます。

他人との社会性を上手く保つ事が出来ないASDには、自分自信の障害にプラスし、
『心』に病気を抱えてしまう『二次障害(躁鬱・鬱)』を併発してしまう方が多くいます。

 

ASDの原因

ASDの障害は、主に『脳機能のアンバランス』により発生しています。

脳機能の中で『機能が高い部分』と『機能が低い部分』とのが大きく、
日常生活・社会生活で『出来る事と出来ない事の差』が激しい事で他人との摩擦(問題)が生まれてしまいます。

ASDは社会生活を行う上でも、とても困難な障害であると言えます。

脳機能のアンバランス例

あくまで主観的(例)ですが、下記の様な能力値の振り分けのパターンに感じます。

振り分け例 コミュニケーション 集団行動 五感能力 脳内処理能力 感情共有
定型発達(100pt) 30 25 10 20 35
ASD(100pt) 10 5 20 60 5

高い機能:   
低い機能:   

定型発達での大きな能力は『コミュニケーション』『集団行動』『感情共感』であり、特に日本人は集団的な行動・思想・思考を強く持つタイプの人種です。それ故に、ASDの『苦手とする能力(コミュニケーション・集団行動・感情共感)』の占める割合が大きいため、当然として両者が上手くやりとりを行う事は不可能に近いのです。
(定型発達が使う『阿吽の呼吸』は、ASDが一番苦手な行動・思想だと言えるでしょう)

 

現在の社会は『定型発達(発達障害でない人々を意味する用語)』の方が大多数であるのに対し、
ASDの方々は、社会全体で見た割合は少数(マイノリティー:社会的少数者)です。

それ故に定型発達の社会では生きずらい状態と言えるでしょう。
(いずれASDの方々の割合が多くなれば、定型発達がマイノリティーになります)

家庭や仕事内でコミュニケーションが上手く出来ない場合、
ASDはマイノリティーとなってしまうため、迫害されてしまう立場にあります。

ASDは高次脳機能障害であり、本人の性格ではありません。

しかし相対する人間が、ASDの方を深くまで観察し、
相手の状況を理解して、ASDの方にあった対応をできる定型発達が少ない事も原因なのです。

もちろん、ASDも定型発達もどちらも歩み寄りが必要だと感じますが、
家庭や仕事の環境の中で相対してしまった場合、どこかに歪みが生じてしまう傾向にあります。

どうやれば『ASDと提携発達が上手くコミュニケーションを取れるか』が、
今後の社会問題の解決にもつながると考えます。

 

ASDの方と上手く付き合う方法

ASDの方の特徴として、記憶容量の少なさがあります。

【他人から言われた言葉を数分後には忘れてしまう】と上記で記載している様に、覚えれる容量が少ない傾向にあります。

 

パソコンで例えた比較

スペック(能力)の比較 定型発達 ASD
PCで例える場合
メモリ(一時保存) 16GB 2GB
記憶容量(長期保存) HDD 1TB(1000GB) HDD 100GB
処理速度(頭の回転) 普通
6000~12000
かなり速い
20000~
バッテリー(継続時間) 稼働 15時間 稼働 3時間

高い機能:   
低い機能:   

定型発達は、記憶の継続・保持(長期保存)が出来るため、過去の会話内容や大まかな流れ、その時の状況や相手の会話内容などのおおよそが記憶できています。しかしASDは、短期・長期記憶どちらも容量が少ないため、記憶の継続・保持が困難になります。
(すぐにバッテリー切れを起こして保存が上手く出来ないPC・スマホの様なイメージ)

記憶の保持や保存・継続が困難な上に、他者との会話の中で『ストーリー(流れ)』を読もうとしても、細かい疑問点がたくさん出てきてしまい、ストーリーが追えない事があります。また、細かな疑問点を確認しないと前に進めない事もあり、疑問→疑問→疑問→…とストーリーの道がそれて行ってしまいます。

さらに記憶容量も少ないため、ストーリーを戻って、振り返った時の『会話内容・状況』を忘れてしまっています。特に、口頭で伝えた内容は覚えにくい場合があるため、過去に『話した内容』も思い出せなかったりします。

 

上記の様な状況は、とても辛く、苦しい精神状態なのだと感じます。

それ故に、ASDの方々の苦しみや苦悩を解決する方法として、
定型発達とASDとの間に『上手く会話ができ、物事を上手に伝えれる変換器』が必要だと感じます。

変換器は何を使う

変換器を使う場合、『文字や文章』を残す事ができるツールが良いと感じます。

記憶容量が少ないASDの特徴を理解し、保存が効く メモ帳やノート、
またスマートフォンやPCであれば、タスクマネージャーやメモアプリ、
メールやLINEなどのツールが有効だと言えるでしょう。

 

定型発達が得意な部分と、ASDが不得意な部分、また、
定型発達が不得意な部分と、ASDが得意な部分。

それぞれの特徴を活かした『心がけ』や『思いやり』を持ちながらコミュニケーションができれば、
お互いの現状の問題は、今よりも下降していく事は少なくなるでしょう。

 

ASDの特徴(強み)

ASDの方々に、共通して持っている特徴の一つで『要点をまとめる能力』があります。

人間(定型発達)が会話をする場合、膨大な量の情報を相手側とやり取りしています。
その情報量(データ量)はあまりにも多すぎる為に、
一つの会話だけでも数分〜数十分以上、長ければ数時間かかってしまう場合があります。
(文字に起こし直した場合、原稿用紙が何百枚〜何千枚と必要になります)

これだけ長い時間、会話(情報のやり取り)を行なっていれば、
どこにポイントがあり、どれが重要であったかが分からなくなり、
会話の内容が薄れ、結果として『あやふや』になってしまいます。

これでは、会話(情報のやり取り)が長引けば長引くほど、『ポイントの正確さ』が薄れてしまいます。

 

ASDの方々は、これらの膨大な情報の中から『要点』を拾う事に長けています。

必要と思える要点だけをピックアップし、間違った点に気づいた場合、
間違ったポイントに汲源して、より正確な情報に昇華させる。まさに神業だと言えます。
(定型発達にとっては感情のやり取りが主体の場合もある為、要点が存在しない場合も多くあります)

 

ASDの特徴の説明

一番最初に記載した【ASDの特徴】について、
ピックアップした内容を細かくご説明していきます。

  • 話が上手く噛み合わない
  • 会話の内容をなかなか理解できない
  • 相手の感情がうまく汲み取れない
  • 言葉を鵜…

 

・話が上手く噛み合わないのは何故?

ASDの方と定型発達の方との会話では、それぞれに特徴があります。

定型発達の方は、おおよその道筋を立てて、
『スタートからゴールまでの道のり』を会話の中に設定し、またその当時の感情や環境、相手側の意図を汲んだ上で話をスタートします。

ASDの方は、要点を絞り込み感情を挟まず、筋道を簡潔に話をします。

どちらも会話方法としては間違ってはいません。
しかし、定型発達の会話中には『感情』を乗せて話をする傾向が強く出てしまいます。
逆に、ASDの会話中では『感情』は省かれて話をします。

定型発達のコミュニケーション能力の中には『感情の共有』が占める割合が多いため、
定型発達側からASDを見ると、感情が共有出来ない『冷めた人』と感じてしまったり、
また、ASDの会話中には抑揚が少ない為『本当にわかっているの?』と疑問視ししてしまいます。

逆にASDのコミュニケーション能力では『簡潔に情報を正確に伝える』事が大きな割合を占めるため、
あやふやな『感情』や『ニュアンス』を省略・除外して会話をしたいと感じ、
『感情・ニュアンス』を挟んだ会話は『回りくどい』と強く感じてしまう傾向にあります。

その『違い』を活かす為には、やはりメール等のやり取りの方が、上手くいく場合が多いのです。
もちろん簡単な会話であれば口頭で問題ないでしょうが、いざ関係が悪化しそうになった場合は、早急に『メール連絡』に切り替える方が良いでしょう。

 

・会話の内容をなかなか理解できないのは何故?

ASDは感情を汲み取る・読み取る能力が低い為に、定型発達特有の『感情を乗せた会話』は受け取れません。
感情を削ったシンプル且つ要点をまとめた会話であればスムーズに受け取る事ができます。

また、抽象的な言葉やニュアンス、話し方ではASDは情報を受け取れません。

「ちょっと右」や「ソレとって」、「あーそこのやつ」などという抽象的な言葉は、一切受け取れず、それよりも「ちょっと右の右は何センチ右?」や「ソレとってのソレって何?」と疑問を持ってしまいます。

定型発達同士であれば、周りの環境・状況を汲み取って、
「(右はここら辺かな…)」と想像したり「(ソレってコレの事かな?)」と自分なりに判断してみたり、
「(そこのやつは…これかな)」と環境・状況を汲み取って判断してみたりします。

ASDには、上記の様な『曖昧な言葉』を使わずに、きちんとした『指示』を伝える様にすれば自然とスムーズなやり取りが可能となります。

 

・言葉を鵜呑みにしてしまうのは何故?

ASDは『処理能力』は高いのですが、感情を読み取る能力が弱い為、相手側の裏側の思惑を感じる事が出来ません。それ故に、簡単な嘘に騙されたり、少しの大げさな言葉をその通りに受け取ってしまいます。

また、定型発達同士でできるような『含みをもたせた会話』も、はたから聞いているASDは『そのまま受け取る』為に、ASDは定型発達に対して『間違えて受け取った情報』をそのまま伝えてしまいます。

彼らの前では、嘘いつわりのない、含みを持たせない、裏の言葉を使わないコミュニケーションが必要であり、それが彼らとの会話をスムーズに熟る技術になるでしょう。

 

・集団行動が苦手なのは何故?

ASDは短期記憶(メモリ)と記憶容量が少ない為、複数人での会話内では、保存できる容量が直ぐにパンパンになってしまいます。一人ずつ丁寧に話す…などの配慮は一般的には難しい為、ASDは自ずと一人でいる状況が多いのです。

ただ、ASDが一人で居たとしても、それを『苦』とは思わず、むしろ心の安らぎ感じます。
定型発達側が『ASDを寂しそう』だと心配する気持ちもありますが、ASD側は一切そうは思っていないという違いを理解すると良いかと思います。

 

・思った事を直ぐ口に出してしまうのは何故?

ASDは要点をまとめる処理能力が高い為、頭の中の処理に『口』が追いついていない場合があります。
頭で思った事がそのまま口の方へ指令が行ってしまい、何も意図せずに言葉を発してしまうのです。

もちろんそこに悪気はないのですが、言葉を選ばずに喋ってしまうので、丁寧な言葉やおもんばかった言葉はあまり出てきません。

定型発達であれば、頭で考えた内容を、一度脳内で処理し、言葉を選んだ後に、喋ります。
それ故に、会話自体が少しづつ伸びてしまうことも多々ありますが、
丁寧な言葉選びや間を持たせるなどの彩りを持った会話が可能となるのです。

情報の伝達速度を優先しているのか、
彩りや賑わい、情緒を持たせた情報を伝えたいのか、
その違いがASDと定型発達の会話の違いと言えるでしょう。

 

・指示が無ければ動けない

ASDの特徴の一つに『指示待ち』があります。

指示をもらわなければ何もできないこともあり、企業に勤めている人の中には『自分から率先して動かない』と思われてしまう方も少なくはありません。

しかし、それは『脳機能の違い』ですので、その人が悪いわけではないのです。

彼らは『与えられた仕事』には全力で取り組みます。
それ故に『指示がうまい』場合は、本領を発揮してくれます。

また、指示が下手な人の場合に『見て覚えろ』等という状況が発生します。

そう言った状況には、ASDはとても不向きであり、上手くはいきません。
自分で想像する力が弱い為、0から1を発想する事や、周りの状況を見て自分なりの感覚・判断で事を起こすという事が出来ないのです。

彼らは、自分から動く事をしないのではなく『動けない』と理解すると良いでしょう。

またASDは、一度、自分の記憶の中に『記憶した』内容があった場合には、
その『記憶した内容』は、ほぼ忘れる事はありません。
記憶容量は少ないですが、一度覚えた内容をとても大事にしています。

それは楽しかった事も、嬉しい事も、悲しい事も、嫌だった事も、
一度覚えてしまった内容は簡単には忘れられないという事です。

ASDがトラウマを持ってしまうと、忘れるまでには相当の時間がかかり、
もしかしたら死ぬまで忘れないかもしれません。

それはとても怖い事であり、定型発達の場合の『記憶の上書き』も難しいという事なのです。

 

・細かい変化が気になってしまう

ASDは、小さな変化や、ちょっとしたおかしな点を見つける事ができるプロです。
彼らの着眼点は正確であり、定型発達が気付けない小さな点を見つける事ができます。

ただ、会話内でその力を発揮してしまうと、
「さっき言った言葉と今言った言葉が変わっている」となってしまう場合が多いです。

仕事として、修正箇所を探す場合には強い力を発揮しますが、
単なる会話の中で『細かい点が気になる』となれば…会話はスムーズには進みません。

やはりメール等の文字や文章を『見える形』でASDに伝える様にする事が望ましいと言えるでしょう。

応援してるよ

編集後記

ASDを家族に持つ人の中には、
ASDのその特徴が仇となってしまい、家族側が『精神障害』を負ってしまう場合があります。

躁鬱や鬱の症状が発生し、その状態を『カサンドラ症候群』と呼びます。

カサンドラ症候群になってしまうと、ASDとの会話が怖くなり、会話自体に恐怖を覚えてしまいます。
会話が成立しない上に、お互いの感情共有ができません。

また、思いやりや配慮をASDは受け取れなかったり、見えない場合が多々あるので、
気苦労ばかりが重り、それをした自分自信に対して『努力の足りなさ』を感じ、責めてしまい、
最後には精神を病んでしまいます。

もともと、犬と人間や、カラスと猫の様な、別々の生き物であると理解できれば良いのですが、
形が一緒であり、なまじ会話ができてしまうので、おかしな状況を変えようと努力してしまうのです。

「おかしいのは治るはず」という、前提から間違った考え方を。

そもそもの段階から違うのですから、例え会話ができても、別々の生物なのだと思わなければならないのです。

また、今までやって来た努力を、ASDは多少なりとも感じてくれています。
もちろんあなたの全ての努力を…とまではいきませんが、少なくとも『感謝』はしてくれています。

また、あなたの事を『敵』だと思って、言葉を発している訳ではありません。

ASDもまた、あなたとスムーズな会話がしたかったり、
ASD自信の気持ちや心、考え方や状況を知ってほしいと願っています。

お互いがずっと、ずっと努力して来た結果、
戻れないほどの状態まで行ってしまった事もあるでしょう。

しかし、お互いいがみ合っている訳ではなく、
『ちゃんと話し合いたい』と願っているだけなのです。

 

一度、あなたの頭の中の「理解してくれない」という気持ちを横に置いて、
「きっと理解してほしいんだろうな…」という心・考え方を持つ事で、
今よりも、少しずつ、お互いの距離は近くなるのではないかと考えます。

 

ただ、これまでのASDとあなたとの状況で、
あなたの心に『トラウマ』や『PTSD』が発生してしまっている事もあるでしょう。
それは、あなたが努力し続けて、手探りで模索し続けて来た努力の証だと感じます。

その努力があるからこそ、この記事のどこかに「はっ!」とする部分も見つかる事でしょう。

 

お互いがお互いの事を大切に思っているのですから、適切な距離を取って、変換ツールを使う事で、
問題の少ない会話・情報のやり取りを行っていきましょう。

きっとどこかで、お互いが『過ごしやすく、話しやすい、楽しい状態』に戻れると信じています。

私も応援しています。

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